「ちょっと悩んでいたことがあったけど、元気づけられたわ」
サハラ砂漠マラソンの完走後。
高校を卒業して働いている生徒や、ある定時制高校の生徒から言われた言葉だ。
SNSでも数百名を超える方から激励のメッセージをいただいて、こう思った。
「僕はみんなと挑戦することができた」
延々と連なる砂丘を踏みしめて、サハラ砂漠を横断したとき。
僕はひとりで走っている気がしなかった。
足の裏の皮が破れ、3日目の夜に足の激痛に苦しみながら、
思い浮かべたのは様々な人の顔だった。
諦めずに走ろうと思えたのは、一緒に誰かが走っているような気がしたからだ。
振り返ってみると、僕はもともと文化部で運動はほとんどしてこなかった。
マラソンを始めた2011年頃は2キロぐらいで次の日に筋肉痛に襲われた。
それでも、走るのを続けるなかで10キロ、20キロ、42キロ、100キロ…と走ることができるようになった。
「自分にもこんなことができるんだ」と思えたとき、かすかな希望が、自分の中に沸き起こったのをよく覚えている。
今、僕は新たな挑戦をしたいと思っている。
標高3,000メートルの山々を走るチリのアタカマ砂漠マラソン。
経験したことのない標高を、食料を背負って7日間走る。
途方もない挑戦になると思う。
アタカマ砂漠マラソンに挑戦することで、たくさんのひとに日本の高校生が置かれた状況を伝えたい。
これまでNPOや社会貢献なんかまったく興味がなかったひとにも、DxPの取り組みを伝えたい。
そして、僕というひとりの大人が挑戦する姿が、10代の目に少しでも映ったらいい。
正直、「おまえも挑戦しろよ〜!」なんて押し付ける気はない。
様々な事情や環境によって動き出せないひとはとても多いからだ。僕も過去、そうだった。
でも、「大人になっても挑戦できるんだ」と気づけるような、
そんな後ろ姿がちょっとでも彼らの目に入ったらいいと思う。
挑戦することは、希望を生み出すことだ。
これを読んでくれているあなたと一緒に、前に進みたい。
ともに、挑戦しましょう。
2017年11月
今井 紀明